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「人工知能サミット」に参加しました “PoC貧乏はなぜ起こるのか?”

2019年6月27日

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はじめに

2019年5月31日(金)ホテル雅叙園東京で開催された日経xTECH主催の「人工知能サミット2019」に参加し、ブレインパッドからはAIビジネス本部 本部長の関口が登壇しました。イベントには800名を超える来場があり大変な盛況ぶりでした。

日経コンピュータと日本経済新聞が2018年7~8月に実施した調査によると、近年は大手企業を中心に、ビジネスへのAI活用は競争力強化のために当たり前という認識が広まってきております。しかしAI導入を実現できるノウハウを持った「人材の不足」、データを活用できる「環境の未整備」、導入までに掛かる「多額のコスト」などが課題になり、活用が進まない、または失敗しているというケースも多いようです。

そんな課題を解決するべく、AI業界を牽引する代表企業が集まりノウハウ・事例を結集することで、来場の企業様に有用な情報を提供する場として本イベントは開催されました。

※各登壇企業の講演プログラムなどは、こちらの特設サイトからご覧いただけます。
https://project.nikkeibp.co.jp/event/ai190531/

講演テーマ

講演テーマは、「本当にその進め方でよい?? AI/データ活用のボトルネックと処方箋」です。

ビジネスの現場ではAIがいよいよ日常的なワードになり、AIならびにデータ活用の取組みが急加速していると同時に、俗にいう「PoC貧乏」と呼ばれる状況に陥っているケースも増加しています。その原因の多くは技術的なアプローチ以前の問題が多く、その成否を分けるポイントについてビッグデータ・ブーム以前よりデータ分析ビジネスを手がけるブレインパッドから見た「リアル」を交えてお話しをいたしました。

AI導入の障壁 ”PoC貧乏” とは?

AIやIoT、ビッグデータ活用などのシーンで、いまや欠かせない概念となったPoC(=Proof of Concept)。しかし、多くの企業が”PoC貧乏”と呼ばれる状態に陥り、AI活用を実現できずに失敗しています。

PoC貧乏とは、企画・構想の「実現可否」や「費用対効果」を繰り返し検証するものの、プロジェクトの本格的な始動に繋がらず、予算だけを無駄に消耗してしまう状態を指した言葉です。2017年頃から広まりはじめました。

通常、PoCを実施して充分な費用対効果での実現が可能と判断できたら、テクノロジーの本導入に進みますが、さまざまな要因で本導入まで至らないケースが往々にしてあります。AI導入に取り組む際、この要因をクリアにできておらず、PoC貧乏に陥ってしまう企業が大変多いのです。

ブレインパッドが分析する、PoC貧乏の原因

数々の企業のAI導入を支援してきた経験から、ブレインパッドではPoC貧乏に陥る要因を次の2つであると分析しています。

 

1.データ分析・アルゴリズム開発にたどり着けない

2.結局、検証できていない

 

それぞれ、詳しく解説します。

 

1.データ分析・アルゴリズム開発にたどり着けない

AI活用を実現するまでのフローのうち、本番のモデリング・評価改善を行う工数は、全体の約20%程度でしかありません。残りのおよそ80%の工数は、それまでの目的設定~データ準備~分析設計の工程に掛かっています。

 

しかし、実際は多くの企業がある「壁」にぶつかってしまい、これ以上に莫大な時間を浪費してしまう傾向があります。その「壁」とは、次の2つです。

 

①データが手元に届かない

ほとんどの企業が、データ提供のポリシーやガイドラインが存在していない、または不充分であるために、AIにデータを読み込ませることができないという事態に直面します。加えて、データの取得環境の構築に掛かるコストが足りず、躓いてしまう企業も多くいます。具体的には、次のようなケースです。

・グループ内でも、会社をまたぐときに、都度NDAの締結が必要

・そもそもデータの第三者提供に関するポリシーが決まっていない

・データを「匿名加工」して活用したいが、なにをもって匿名加工とするかガイドラインがない

・プライバシーポリシーの利用用途に充分な記載がない

・WebのCookie情報や顔・生体情報などの定義がない

・社員の個人情報についてポリシーがない

・ローデータに社員がアクセスできないため、お抱えベンダーへ追加作業コストが必要

・PoCを安くやりたいがクラウド利用はNG

・セキュリティポリシーに準じた端末を揃える必要がある

・既存のネットワーク環境ではビッグデータを移送できない

 

②データが読み解けない

もうひとつの壁が、データをAIに読み込ませて活用できる状態まで整備できていないという問題です。これにはさまざまな要因があります。具体的には、次のような例が挙げられます。

・データベースのコストを抑制するため、一定期間以上前のデータは廃棄してしまっている

・業務ごとに、履歴保持期間がバラバラ

・Excelを使っているが、印刷した紙帳票しか残っていない

・データ入力のルールが、個人によってバラバラ

・同じコードを使い回しており、マスターの変更履歴も残っていない

・会社間/部門間でそれぞれ違うマスターを使っている

・CSV形式でデータを保持しているが、「データの型」が分からないので1からテーブル設計が必要

・社員がデータ構造を理解していない

・データ定義書が残っていない

・CSV形式のデータで、数値データに「桁区切りのカンマ」が入力されており、別々の列として認識されてしまう

 

ここで挙げた「壁」の要因は、ほんの一例にすぎません。どの企業も、基本的にはデータ活用を前提とした設計・利用を行っていないため、現行システムのデータをそのまま活用できるケースはほとんどないのです。これを回避するためには、全社的なデータ環境の整備が必要となります。そのため、経営主導で「データ・ガバナンス」の構築を行うことが大切です。

 

2.結局、検証できていない

PoC貧乏を引き起こす、もう1つの要因が、PoCを実施しても正しく検証が行えていないというものです。例を挙げて紹介します。自社でのAI活用方法・効果を検証するために、AIベンダー2社に依頼して、同じテーマでPoCを依頼したとします。こうしたケースでは、主に次のような問題が発生します。

 

①精度検証の条件が違う

例)•対象としている商品と商品数が異なる

  •シミュレーションの基準日が違う

 

②設計思想が違う

例)•X社は「在庫の最適化」に重点をおいたアルゴリズムを設計

  •Y社は「需要の予測」に重点をおいたアルゴリズムを設計

 

上記2点の例のように、設計軸の違うものを同列に並べて比較することはできません。多くの企業は、色々な角度から2社のアルゴリズムを検証しているうちに方向性を見失ってしまい、いつの間にか、本来一手間かけて検証すべきであった「投資対効果(経済価値)はどれくらいか」というビジネス価値に変換して考えるのではなく、「どちらの精度が高いか」というPoT(=Proof of Technology)、つまり技術検証になってしまう傾向があります。これでは、PoC本来の目的を果たすことができず、プロジェクトが行き詰まる原因になります。

AI活用のために、心得ておくべきこと

まとめると、PoC貧乏に陥らないために、まずは経営主導で「データ・ガバナンス」の構築を行うことが大切です。また、近年は、AIのソフトウェアビジネス化が進んでおり、本来の「利用価値」よりも「機能面での訴求」が増えてきました。

だからこそ、AI活用の実現を目的としたPoCでは、精度・機能の優劣による検証(=PoT:Proof of Technology)になってしまわないように、導入によって得られる経済価値の高さに重点を置く視点も大切です。

これを身につけておくために、以下5つを心得ておきましょう。

~AI活用のために心得ておくべきこと~

1.「汎用的なAI」なんて無い

2.Deep Learningが必要なケースは限られている

3.「簡単にチューニングできる」という耳障りの良い話はウソ

4.「いちど開発したら、放っておいても勝手に精度があがる」はウソ

5.開発段階で精度を1%上げることよりも、早く世に出す・使う

AIビジネス活用をより理解いただくために

ブレインパッドでは、こちらでご紹介した以外にも、AIのビジネス活用を実現するうえで欠かせないノウハウ・事例を多数公開しております。

例えば下記のホワイトペーパーがその1つです。AI活用事例にご興味がございましたら、無料でダウンロードしていただけますので是非ご覧ください。

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さいごに

本イベントではAIビジネス本部の関口の講演以外に、展示ブースにも出展しました。ブレインパッドは企業のAI活用支援やデータ分析の領域に留まらず、データサイエンティストや機械学習エンジニアなど「データ活用人材」の育成サービス事業も展開しており、展示ブースでは人材育成サービス事業のご紹介を中心に行いました。

こちらも多くの方にいらしていただき、自社のデータサイエンティスト育成やデータ分析組織を具体的にどうしたらいいかなどの真剣なご相談も頂戴いたしました。

データ活用人材の育成や組織構築にご興味のある方は、以下のページをご参照いただければと思います。

ブレインパッドのデータ活用人材育成サービスはこちら

 

ブレインパッドがこれまでに提供してきた多種多様なAI活用の導入事例をご紹介しています。ぜひ、ご覧ください!

 

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