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教えて!ダイナミックプライシングとは?

2018年12月27日

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「ダイナミックプライシング」という言葉を目にしたことはありませんか?ダイナミックプライシングとは、需要と供給のバランスから最適な価格設定をする技術です。どのようなシーンで活用できるのか、ブレインパッドのデータサイエンティストに話を聞きました。

 

【登場人物】

 

ブレインパッドのデータサイエンティスト。オペレーションズ・リサーチを専門としてキャリアを積む。現在はダイナミックプライシングを担当。

 

  

ブレインパッドのマーケティング担当。目まぐるしく変化する世の中で、最新の技術情報と流行をキャッチアップするべく、日々勉強中。
 
 

ダイナミックプライシングとは

  トノウチさん、こんにちは!本日はよろしくお願いします。

 

  よろしくおねがいします。

 

  さっそくですが、 最近「ダイナミックプライシング」という言葉をニュースなどでよく見かけるのですが、いったい「ダイナミックプライシング」って何なのですか?

 

 同一商品を、時々刻々、需要に応じて価格を変更する価格戦略をダイナミックプライシングと呼んでいます。たとえば、航空券やホテルの宿泊料の価格付けが代表的ですね。

 

 時々刻々と変動する価格戦略…つまりダイナミックなプライシングということですね。どんな時に価格が変わるのでしょうか?

 

 需要が上がったり在庫量が少ないときには価格を上げ、需要が下がったり在庫が余っているときに価格を下げます。

 

 なるほど。ダイナミックプライシングが使われるシチュエーションをもう少し詳しく教えてください。どうして価格を上げたり下げたりするのでしょうか?

 

 収益を大きくするためです。航空券やホテル客室など補充が効かない商品の場合、販売できる商品の数も、販売できる期間もあらかじめ決まっています。そのような状況では、安い価格であっという間に売り切ってしまうぐらいなら、売れ行きはゆっくりでも高い価格でぎりぎり期限前に売り切れるぐらいの方が収益は大きくなりますよね。また、在庫が大量にある場合、高い価格で販売期限時に多くの売れ残りを出すぐらいなら、安い価格にして販売期限を迎える前に売り切ったほうが収益は大きくなります。なので、需要を踏まえつつ適切に価格を設定することで収益を最大化しようとするのです。

 

ダイナミックプライシングの活用事例

 たしかに、商売人なら需要が高いなら価格を上げたいし、あまり人気がないなら安くても売り切ってしまいたい気持ちになりますよね。それを、ダイナミックプライシングで価格操作できるってことですよね。

ダイナミックプライシングは、世の中で実際に使われているんですか?

 

 格安航空会社(LCC)では単一クラスの単一料金で、繁閑に応じて価格を変更している場合が多いですよね。これをダイナミックプライシングと呼ぶこともあります*1。ただし、多くの国内LCCは出発日の繁閑を予測して発売時点で価格を設定したら、そのあと販売価格の変更をしていないようです。

これに対し、近年特に注目を浴びているダイナミックプライシングは、販売期間中に需要に合わせて価格を動的に変更します。売り出してみたら、よく売れるので後から価格を上げるといったもので、収益最大化のため、より柔軟な価格設定が可能です。

 

 あらかじめ需要を予測したり在庫を最適化する事例はたくさん知っていますが、ダイナミックプライシングは発売後の価格を最適化するということなんですね。ダイナミックプライシングによる価格設定にはどんなメリットがあるんですか?

 

 需要の読み違いによる価格設定の失敗というリスクが低減できます。そもそも需要の予測自体なかなか難しいもので、完全に的中させることは困難です。発売後に需要を確認しつつ逐次的に価格を設定できれば、適切な価格設定に事後的に変更することが可能となります。

 

 なるほど!企業としては適切な価格で販売したいですよね。でも、利用者の立場で考えると、安い方が嬉しいなぁ。

 

 利用者の立場から見ても、本当に買いたい人が買うことができると考えれば、一概に悪いことではないという意見もあるようです。

 

 つまり、安すぎるとそれほど欲しいと思っていない人も買ってしまい、本当に必要な人が買えなくなってしまうというリスクをなくせるってことですか?

 

 そうですね、例えばAKB48のライブに絶対行きたいのに、チケットが発売日にあっという間に売り切れちゃって買えなかった・・。などということは、多少は解決できるかもしれません。前向きに考えるならば、本当に欲しい人がそれに見合うお金を払えば買うことができるようになるので消費者の利便性が上がると言えます。

 

 私も、大好きなアーティストのライブのチケットが買えなくて、泣く泣く諦めたことがあります。そこにダイナミックプライシングが適用されていたら、もしかしてチケットを買えていたかも…。

 

ダイナミックプライシングを適用できる条件とは

 ところで、さっきから値上げの話ばかりですが、ダイナミックプライシングは値上げをするための手段なんですか?

 

 そんなことありません。アパレル業界の服の値下げはダイナミックプライシングの一例です。

 

 え、アパレル業界でも使われているんですか?

 

 はい。売り手は、自分の商品が流行・トレンドに合うかどうかわからないため、後に割引きをすることを前提として、最初は高い価格を設定します。シーズン初期に購入する顧客は、通常、高い支払い意思を持つ(そのような顧客は自分のことをトレンドセッターと考えているため)ので、価格が高くても売れる商品があります。 販売のピーク時、顧客は他の店や商品を見るなどすることで、価格水準を理解し、また、敏感にもなります。そのため、後になるほど価格が安くないと売れなくなります。店は販売期限までに売り切ってしまいたいので、顧客の需要に合わせて価格を下げていきます。もっとも、今述べたような販売モデルは旧来のアパレル業界の話で、最近のファストファッションや低価格のファッション系ECサイトでも、まったく同じことが言えるかどうかはわかりません。

 

 服の流行やトレンドと値付けって店員さんの経験やセンスで決めていると思っていました。

 

 経験やセンスでうまく価格設定できる人がいたらいいですよね。 でもいたとしても、その人が何かの事情で退職してしまったら困りますよね。実際、価格設定という業務に属人性の問題を抱えるケースは多いようです。経験やセンスで値下げの額やタイミングを決めるのは難しいので、客観的にデータをもとに決められれば素晴らしいとおもいませんか?

 

 素晴らしいと思います!

 

 感覚で決める代わりにデータから価格を決定することができます。そのためには、AI技術により過去の情報を効果的に活用します。

 

 ダイナミックプライシングはどんな業態でも使えますか?

 

 いくつか条件があります。

① 価格変更に費用や時間がかからないこと

② 価格の変動が顧客に許容されている(受け入れられている)こと

③ 在庫の数が固定的であること*2、売り物に共有部分などがないこと

 

 ダイナミックプライシングを使えるのは特定の業界・業種に限られそうですね。

 

 そうですね。

それでも、まだ取り組んでいない企業は多いですし、さっき、LCCについて述べたように、すでにダイナミックプライシングに取り組んではいても、さらに推進する余地がある場合も見受けられます。上の①〜③の条件にそって言えば、次のことが言えます。

「価格変更に費用や時間がかからないこと」に関しては、インターネット販売であればほぼ条件を満たしています。航空機もホテルもECサイトもネットで販売しています。ネット通販は条件を満たしていますが、同じ通販でもカタログ通販では困難です。

「価格の変動が顧客に許容されている(受け入れられている)こと」については、業界の事情によります。無論、エアライン業界、ホテル業界では昔から価格変動が顧客に受け入れられています。最近は、観戦チケットや駐車場でも価格の変動が受け入れられつつあるようです。ECサイトの例としてはamazonなどでも使われています。

「在庫の数が固定的であること、販売する商品・サービスに顧客が共有する部分などがないこと」に関しては、やはりホスピタリティ業界(航空券、ホテル)が代表的ですがアパレル、駐車場、チケットなど上に挙げた例は全てこれに当てはまります。

一般にECサイトは価格変更が容易な点、需要の把握がしやすい点から、技術的に適用しやすいです。あとは商材がダイナミックプライシングに適合するかどうかです。

 

 ECサイトはデータも取りやすいですし、ダイナミックプライシングを使えば収益改善ができそうですね!でも、どうやったらダイナミックプライシングを使えるようになるのでしょう?

 

 大まかに言えば、AIを用いて需要を予測し、最適な価格を予測する仕組みを作ることが基本になります。AIには、需要に影響を与えそうな情報を入力する必要があります。例えば、競合商品の価格や天気、気温などがその例です。これらをなるべく人手をかけずに行うためには、必要なデータを収集し、AIによる需要予測と価格の最適化を実現できる仕組み(システム)を構築する必要があります。クラウド技術が普及した現在では、ハードウェアの導入なしに、リアルタイムの価格最適化を実現することも夢ではありません。

 

 これまでブレインパッドが培ってきた需要予測のノウハウに新たにダイナミックプライシングが加わると、データ活用による事業革新がさらに進みそうですね!ダイナミックプライシングについて、よくわかりました。ありがとうございました!

まとめ

ダイナミックプライシングは、商品・サービスの周辺のさまざまなデータを組み合わせることによって、企業と利用者双方にとって最適な価格設定ができる技術ということがわかりました。今回の話に出てきた業界以外にも、適用できるところはたくさんありそうですね!

 

【ダイナミックプライシング まとめ】

・最適な価格設定により、収益を最大化できる

・以下のような場合に特に効果を発揮しやすい

  - 価格変更に費用や時間がかからない

  - 価格の変動が顧客に許容されている

  - 在庫数が固定的かつ売り物に共有部分などがない

・ 価格を臨機応変に変更しやすいECサイトを始めとするインターネット販売が適している

・ 店舗販売でも、需要の変化と共に価格を再設定しやすいアパレルやチケット販売などに適用可能

・データとAIを活用することで、客観的な意思決定を実現できる

 

 

【注釈】

1: 大手航空会社の航空料金は、全く同じ便への予約について、「通常」、「早割」、「超早割」などの複数クラスを用意し、クラスごとに便変更やキャンセルの際の払戻金の条件に差をつける。条件の厳しさに応じて価格の高いクラスと安いクラスに分ける。そして、繁閑に合わせてクラス全体の価格を全体的にあげたり下げたりしています。これも収益最大化のために行われていることですが、DPというよりは、レベニュー・マネジメント(RM、あるいはイールドマネジメント(YM))と呼ばれることのほうが多い。

 

2:つまり、在庫の数が決まっていて、補充もできないこと。ただし、補充ができるような状況における価格設定問題もDPとして捉える立場での研究や取り組みもある。

 

 

ブレインパッドがこれまでに提供してきた多種多様なAI活用の導入事例をご紹介しています。ぜひ、ご覧ください!

 

 

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