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入社1年目が教わる「はじめての人工知能」
第1回:人工知能(AI)とはなにか

2018年7月13日

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Photo by Franck V. on Unsplash

現在、人工知能(AI)は人びとの生活や産業に革新をもたらす技術として世界中で注目されています。本ブログではこれからビジネスにAIを活用する方に向けて、ブレインパッドの入社1年目が先輩社員から学んだAIの“基礎”を連載形式でお届けします。第1回目は「人工知能(AI)とはなにか」をわかりやすく解説します。

私たちはいま、時代の転換期を生きています。これまでの勘や経験に基づいて意思決定がされる世界から、人工知能(AI)やデータを駆使した世界へと。未来はまだ、始まったばかりです。すなわち、誰もが未来を創るチャンスがあり、誰もが時代の主役になる可能性を秘めているということです。

昨今ニュースや新聞で見ない日はないAI。いまや多くの企業でも、AIをビジネスに活用しようという気運が高まっています。これを一時の流行りや単なるバズワードと捉えるか、意味を正しく理解し、正しく使えるようになるか。それにより、次の時代を生きていけるかが決まると言っても、決して過言ではありません。

ブレインパッドは、+AI(プラスエーアイ)という本サイトを通じて、AIやデータ分析のプロジェクトを進めるにあたって必要な情報や、これまでご支援してきたサービスの事例や具体的内容を公開することで、皆さまと一緒に未来を創っていきたいと思っています。

かく言う入社1年目の私も、つい3ヶ月前までは「AIとは、社会を大きく変える可能性のある先端技術」くらいにしか考えていませんでした。入社してから今日までの研修や日々の業務を通して、「世間で言われているAIとはなにか」「AIをビジネスに応用するためにはどうすればいいのか」「なぜAIは世界を変える可能性があるのか」が少しずつ分かってきました。

すると、世界中で起こっているあらゆる出来事が、実はAIやデータを巡る巨大なゲームであるという真実に気付きました。なぜ誕生して間もないベンチャー企業を大企業が破格で買収するのか。一見売上の立たないビジネスモデルがなぜ成立しているのか。ビジネスの世界だけではありません。政治や社会、法律までもが、来たるAI社会に向けて大きな変革を遂げようとしているのです。

私自身まだまだ学び始めたばかりです。ですが、新しいことを知るたびに、世界を知るための扉をまた一つ開けられた、未来を創るきっかけを得られたような気がして、その興味はとどまることを知りません。

そこで、様々な企業からAIやデータのビジネス活用について日々相談を受けている私の上司に、AIの定義から、実際にAIをビジネスに活用するときのポイント・進め方に至るまで、あらゆることを教えていただくことにしました。我々が所属しているAIビジネス本部は、データやAIの持つ力を解き放ち、クライアントが抱える課題を解決に導くためのご支援をしています。

また私の上司は、「AI・データ活用が国の成長戦略の中心に掲げられている一方で、機械学習などのAIに関する技術をビジネスリーダーがいかに用いるかについての体系的知識や実践的なノウハウが書かれている本がない」という問題意識から、『いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本』という本も執筆しています。

そんなAIやデータとビジネスに橋を架けるプロフェッショナルから、入社1年目でも分かるレベルに噛み砕いて教わる内容なので、AIをビジネス活用したいと考えているあらゆる人にとって幅広く役に立つ情報になると思います。本ブログではAIについて毎週1回、教わった内容を連載形式で書いていきます。

AIへの理解を深めて、ともに未来へアクセスする扉を開けましょう。

人工知能(AI)とは概念に過ぎない?

第1回目は、「人工知能(AI)とはなにか」についてです。AIとは一体何なのか、なぜこんなにも騒がれているのかについて、学んでいきます。

結論から言うと、「AIとは概念的なもの」です。

これだけではよく分からないので、ひとまず、研究者や研究機関の定義を見ていきましょう。1956年のダートマス会議で初めてAIを定義したJohn McCarthyは、「知能を持った機械を作る科学と工学、特に知能を持ったコンピュータプログラム」としています。その他にも研究機関や研究者では、以下のように定義しています。

各研究機関・研究者によるAIの定義(韮原祐介「いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本」、元資料:松尾豊「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」)

ここから言えるのは、実は、研究者や研究機関によってその解釈がバラバラであり、AIに技術的な定義はないということ。結局、いま世間で騒がれているAIとは、「人間の知能・知性を代替する機械の総称」に過ぎず、具体的な機能による定義がないのです。

このように学問領域としてAIを捉えることが難しいのは、「関係する研究領域や研究者がそれぞれ独立しているためである」と杉山将教授(東京大学大学院)は言っています。

AIに関する研究領域には、機械学習やディープラーニングという「基礎分野」と、音声認識や画像認識、自然言語処理などの「応用分野」があり、それぞれ独立したフィールドを構成しています。また、研究者についても、確率や統計などの理論に基づき「汎用的な手法を構築する立場」、言語や画像といった具体的なデータを対象に「実用的なアルゴリズムを開発する立場」、「精緻化した推論のルールを構築する立場」のように、様々な立場が存在します。

そのため、研究領域や研究者によってAIに対する捉え方が異なり、それらを統合する形で定義することは難しいのです。

人間の知能の本質は情報処理にある

AIのイメージがなんとなくつかめてきたところで、ここからは「人間の知能・知性とはなにか」について学んでいき、AIへの理解を深めていきます。

結論から言うと、「人間の知能・知性とは情報処理のこと」です。人間が行っている情報処理は、入力・処理・出力の3要素によって成り立っています。

たとえば、突然目の前にクマが現れたことを想像してみてください。まず、目の前の物体を聴覚や視覚で捉え、ガオーと叫ぶ巨大な茶色い動くものという情報が入力されます。続いて、それらの情報から目の前の物体がクマであると認識し、危険だから逃げるべきと判断します。すると、それらの信号が全身に伝わり、全速力で逃げるという行動につながるのです。

このように、五感で受け取った情報(入力)から、必要な情報を選択、理解し(処理)、情報をつなぎ合わせて判断し、行動につなげること(出力)こそが、人間の知能・知性なのです。

そして、この高度な情報処理を機械、つまりコンピュータで再現しようとする試みのひとつに、機械学習という技術があります。詳しい機械学習の仕組みについては後々学んでいきますので、ここでは一旦、「AIを実現するのに用いられる要素技術」という理解にとどめておきます。

人工知能(AI)を取り巻く3つの変化

AIが近年注目されるようになったのは、主に3つの理由があります。

1つ目は「データ量の増大」です。AIには大量のデータが必要になりますが、インターネットの発展やセンサー端末の高機能・低価格化などによってデータ量が急激に増大しました。さらに、クラウド化によって相互利用できるデータ量が増えたことも見逃せません。

世界の年間データ生成量(韮原祐介「いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本」、元資料:IDC「IDC Data Age 2025」)

2つ目は「計算資源の進化」です。コンピュータの処理能力が格段に上がったことにより、大量のデータをより高速に処理することが可能になりました。

スーパーコンピュータの性能(韮原祐介「いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本」、元資料:Top500.org)

そして3つ目は、「アルゴリズムの進化」です。世界各国の学術機関や企業の研究成果として、ディープラーニングなどの機械学習アルゴリズムが進化してきました。さらに、オープンソース化が進んだことで開発スピードが加速し、ディープラーニングや強化学習などの応用可能性と実行力が高まっています。

以下の図は、世界的な画像解析のコンペティション「ILSVRC」のエラー率(誤答率)の推移を表したものです。近年急速にエラー率(誤答率)が低下してきました。私も上司に促され、実際に出題される画像を見てみましたが、なかなか判別ができないものが多く、近年の精度の向上に唸らされました。

ILSVRCの出題イメージ(https://cs.stanford.edu/people/karpathy/ilsvrc/

ILSVRCのエラー率(誤答率)の推移(韮原祐介「いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本」、元資料:ILSVRC)

これら3つは今後ますます加速していくことが確実であり、世界中の企業や国家においてAI活用の機運が高まっているのです。

*****

連載第1回目となる今回は、近年AIが注目されている理由にも触れながら「人工知能(AI)とはなにか」について学んでいきました。次回は、AIの歴史について学んでいきます。

今回の要点

・AIに技術的定義はなく、結局のところAIとは単なる概念的なものである
・何らかの「人間の知能・知性を持った機械」全般の総称としてAIと呼ばれている
・人間の知能・知性とは、情報処理のこと
・高度な情報処理を行うために、機械学習という技術が用いられている

 

参考文献

・IDC(2017)IDC Data Age 2025(April 2017)
Top500.org
・安宅和人(2017)「知性の核心は知覚にある」DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(2017年5月号)
・総務省(2016)「平成28年度版 情報経済白書
・韮原祐介(2018)「いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本」株式会社インプレス

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